
TOP > 診療科・部署のご紹介 > 痛風に関するQ&A(II)


毎日ほぼ600~700mgの尿酸が体内に入ってきて、同じ量が排泄されているのですが、尿酸の処理がうまくいかず血中に異常に増えることがあります。この状態は「高尿酸血症」と呼ばれます。尿酸塩は体液(組織液、関節液など)中では7mg/dl しか溶けず、それ以上に濃度が高くなると針状結晶(右欄写真)になって析出し、関節周囲に蓄積して病原性を発揮します。このことから、血清尿酸値の正常範囲は7mg/dl 以下と定められています。
下欄写真(左)は、高尿酸血症が続いたときの関節内の様子です。 高尿酸血症(血清尿酸値が7.0mg/dl を超えた状態)が長く続くと、関節の滑液膜という場所に尿酸ナトリウム結晶が析出して小さな結節(微小痛風結節)を作り、次第に大きくなってゆきます。 さらに経過すると、下欄写真(左)のように、ある日突然に結節から針状結晶が関節腔内に崩れ落ちます(結晶脱落)。 関節腔内に脱落した針状結晶は生体にとって異物ですから、これを排除しようとして白血球が激しく攻撃するので炎症が起こります。これが痛風性関節炎、すなわち「痛風発作」です。

「一般には「痛風発作」は血清尿酸値が高い時に起ると考えられていますが、実は尿酸値が正常の時にも起こります。現に痛風発作中の血清尿酸値はしばしば正常ですし、薬剤で血清尿酸値を急激に下げると痛風発作が誘発されることもよく経験されます。 高尿酸血症(血清尿酸値が7.0mg/dl を超えた状態)が長く続いて尿酸塩結晶が蓄積されていれば、なにかのトリガーが加わると結晶脱落は起りうるのです。 このような状況を私は「雪の絵」を使って説明しています。血清尿酸値7.0mg/dl 以上を「雪」で表しますと高尿酸血症と痛風発作の関係は右図のようになります。

痛尿酸が高い状態(高尿酸血症)が10数年継続しますと、痛風発作が繰り返されるだけでなく、関節周囲には尿酸塩が吹きだまりのように蓄積して、下欄写真のような「痛風結節」と呼ばれるコブを作ります。

このような変化は腎臓の髄質(中心部)にも起って、組織を破壊し機能を低下させてゆくと考えられます。
本当です。痛風患者さんの腎臓を新しいタイプのCT(コンピュータ断層撮影)で調べてみますと、100人中30人位の割合で結石が認められます。痛風患者さんの体内で増加した尿酸が尿中に排泄される過程で溶けにくくなって、尿酸自身が結石をつくったりカルシウム結石の形成を促進したりするのです。

痛風の人は体内に尿酸が過剰にありますので、時として多くの尿酸が腎臓を通過します。尿の条件が良くないと、尿酸が溶けにくくなって結晶を作り腎臓の濾過装置に目詰まりを起こしたり腎結石ができたりします。
したがって、痛風・高尿酸血症の人には尿酸をうまく洗い流すための努力、「尿路管理」が必要です。
尿路管理は (1)尿の希釈 (2)尿のアルカリ化 (3)尿中尿酸を減らす の3つから成り立ちます。まず、水分摂取につとめて尿を薄めることにより、尿中の尿酸濃度を薄め、尿の酸性化(痛風の世界ではpH<6)を防止することができます。
尿酸は酸性尿では溶けにくく、腎臓で結石を作ってしまう危険があるので尿のアルカリ化が重要です。尿中での尿酸の溶解度とpH の関係は右図のようになります。
尿は溶媒としては純粋な液体ではありませんから溶解度曲線は複雑ですが、概念的には図の逆V字型の曲線のようになると思ってください。
痛風は「痛い病気」として有名ですが、古くから「痛風腎」という言葉があるように腎臓の機能が低下していく病気であることが知られています。血清尿酸値のコントロールだけでなく腎臓から円滑に尿酸を排泄させるための努力も大切なことを忘れないで下さい。